太らない腸内細菌叢に変える


■腸内細菌叢は現代医学のトピックスのひとつ。2017年1月ニューイングランドジャーナル誌の総説に取り上げられました。腸内細菌叢が、肥満、発癌、免疫などに関わっていることが示唆されていて、研究が進んでいることが紹介されています。

■肥満と腸内細菌の関連を示した論文は、2013年にサイエンスに掲載されました。太っている人、痩せている人の腸内細菌を無菌マウスに移植し同じエサを与えたところ太った人の腸内細菌を移植されたマウスは太りましたが、痩せた人の腸内細菌を移植されたマウスは太りませんでした。太るかどうかは、腸内細菌で決まったのです。

■現状では特定の菌種を摂取することで減量効果が得られるという十分なエビデンスはありません。というのも腸内細菌叢でもっとも重要な要素は多様性、つまりいろいろな細菌が存在することなのです。たかだか数種類の細菌だけでその性質が変わるものではないのかもしれません。

■さまざまなダイエット目的の乳酸菌サプリメントがあります。その中に自分に合ったものがあるかどうかは、試しに内服してみないとわかりません。もし効果的なサプリメントが見つかれば、ただ内服するだけでいいので、最高のダイエット法と言えるでしょう。

(参考文献)


 

だらだら食べない!


■食事量、食事内容は制限せずに食事時間を制限するダイエット法があります。根拠となったはマウスネズミの実験です。

■対照群のマウスネズミには、高脂肪食を好きな時間に食べさせました。治療群のマウスネズミでは、同様に高脂肪食を与えましたが、食べられる時間は活動期間の8時間に制限しました。どちらも総摂取量は同じにしました。結果、対照群は肥満マウスねずみになったのに、治療群のマウスネズミは体重が変わりませんでした!

■マウスネズミの実験結果を人にもあてはめるのは飛躍しすぎと思われるかもしれませんが、昔からダイエットに成功した人の話で「何時以降は食事を摂らないようにした」というのを聞いたことがあると思います。ただ、1日の中で何時間ファスティング時間(絶食時間)を作ればいいのか?根拠のある数字はあるのか?が問題になります。

■10時間・・
朝食が7時からなら、前の日の夕食は9時までに食べ終えるという時間制限

10時間という数字は、1回の食事後に身体の中の糖質がすべて消費されて、脂肪が燃焼し始める時間。エネルギーの貯金である脂肪を燃焼させることができれば、体重も減ることが期待できます。

脂肪が燃焼を開始すると「ケトン体」が産生されますが、それにより長寿遺伝子が活性化されることがわかり、「ケトン体」は抗加齢医学では関心を集めています。

欠点は10時間というファスティング時間で体重が減少したとする臨床データがないこと。

■12時間・・朝食が7時からなら、前の日の夕食は7時までに食べ終えるという時間制限

スマートフォンアプリを活用して、人の摂食行動を解析した論文が根拠になっています。それによると摂食時間を12時間に制限すれば、食事内容を制限しなくても(!)、体重は減少することが示されました。しかも追跡調査の結果1年後もほとんどの人で体重が維持されていました。理由は「続けるのが楽だから」!

■理想的には夕食と朝食の間に12時間のファスティング(絶食)時間を取ること、最低でも10時間はあけることをおすすめします。

 

(参考文献)
A Smartphone App Reveals Erratic Diurnal Eating Patterns in Humans that Can Be Modulated for Health Benefits.

 2015 Nov 3;22(5):789-98. 

王様のような朝食、王子様のような昼食、そして貧民のような夕食を・・


■この西洋のことわざには、ダイエットの「王道」のヒントが詰まっています。決め手となるのは「体内時計」。その医学的な解明が進んでいます。わかったことは、ひとつは体内時計には脳の中にある中枢性の時計と体のあちこちにある末梢性の2種類あること。もうひとつは、人の体内時計は1日24時間ではなく、25時間周期であること。つまり人は毎日時差ボケが発生するので、毎日リセットしないと体調を崩しやすいのです。

■体内時計は2種類あるので、リセット方法も2つ。中枢性の時計のリセットには、朝起きて日光(ブルーライト)を浴びること。末梢性の時計のリセットには、起床して2時間以内に朝食を食べることが必要です。

■体内時計を持つ身体は、朝と夜を区別します。朝に摂る食事は、これからの生活のエネルギー源として使われやすく(蓄積しにくく)、夜に摂る食事は、明日のエネルギーとして蓄積されやすい(消費されにくい)のです。また、朝食を抜くとその分摂取カロリーが減って、ダイエットになると思われがちですが、実は、たとえトータルとして摂取カロリーが増えても朝食を食べた方が太りにくく、朝食を抜いた方が肥満傾向になることがわかっています。さらに時計のリセットには、栄養バランスの取れた朝食が必要で、バナナ1本とか食パン1枚では時計のリセットはできません。だから「王様のような朝食」が必要なのです。


■多くの方で1日の中で夜の食事がもっとも豪華なものになっていることでしょう。ことわざにならってその比重を変えること、間違っても朝食抜きにしないこと、これが時間栄養学からのアドバイスです。

美容痩身とは


お腹や脚を「細く」しようと思ったら、食事制限をして、できれば運動もして、まずは体重を減らすこと。減量がうまくいけば、それだけお腹や脚は「細く」なります。それが一般的な「痩身」です。

しかし、「美容痩身」、医療としての「痩身」では、体重を減らすことを前提にしません。むしろ体重を減らさなくても、細くできるのが「美容痩身」です。その「美容痩身」がしているのは、脂肪組織を壊すこと。脂肪細胞の中に蓄えられていた脂肪は放出されて、ゆっくりと吸収されていきます。脂肪組織のボリュームが減ることで、身体は細くなっていくのです。

「美容痩身」では体重を減らさなくても、細くすることができます。しかし、減量を伴わない美容痩身の結果は、多くの場合満足のいくレベルにまでいきません。だからこそ美容痩身のさいには、ダイエットである程度減量することをおすすめします。

結果を出すためのヒント


■固形の脂肪組織は、エネルギーの貯蔵庫です。せっかく固形の脂肪を痩身治療で溶かしているのだから、脂肪を燃焼して消費してしまう千載一遇のチャンス到来です。脂肪を燃焼し続ける身体に作り上げましょう。

■ただそれは簡単ではありません。たとえて言うなら脂肪はエネルギーの「定期貯金」。それをくずすのは手持ちの現金や普通預金が尽きてから。手持ちの現金や普通預金とは、炭水化物(糖質)のこと。まずは身体から炭水化物(糖質)を枯渇させる必要があります。

■それには、一日の中で10時間以上のファスティング(絶食)時間を確保することです。食後10時間以内に体内の炭水化物(糖質)は消費され、そこからは脂肪がメインのエネルギー源になります。睡眠時間を挟む夕食と朝食の間がいいでしょう。夕食をできるだけ早めの時間に摂ることです。

■もうひとつは、糖質制限。あまり難しく考えず、主食(ごはん、パン、麺類)を絶つことから始めてはどうでしょうか。毎食は無理でも、せめて夕食だけは主食なしにしましょう。炭水化物(糖質)の補給が少なくなれば、10時間たたずに身体は脂肪燃焼モードに入ります。

■紹介した2つの方法は、痩身としてだけでなく、一般的なアンチエイジングに適った食事法でもあります。どうせなら、センチやキログラムばかりにこだわった近視眼的な痩身ではなく、いつまでも若々しく、美しい未来の自分に向けたアンチエイジングな痩身にしてはいかがでしょうか。